業績概要
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EPS(調整後):$1.04(予想 $1.01)
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売上高:$467.4億(予想 $461.3億、YoY +56%)
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粗利益率(調整後):72.7%(予想 72.1%)
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営業利益(調整後):$301.7億(予想 $293.6億、YoY +51%)
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フリーキャッシュフロー:$134.5億(前期 $261億)
セグメント別
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データセンター:$411億(予想 $412.5億、YoY +56%)
Blackwell製品 QoQ +17%、OpenAIで業界最高性能実証 -
ゲーミング:$43億(YoY +49%)
RTX 5060がx60クラス史上最速の立ち上がり -
プロフェッショナルビジュアライゼーション:$6.01億(YoY +32%)
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自動車:$5.86億(予想 $5.93億、YoY +69%)
ガイダンス
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次四半期売上高:$540億(予想 $527.6億、QoQ +15%想定)
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通期売上高/EPS:予想値(売上高 $2,034億、EPS $4.37)を上回る見込み
注目トピック
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Blackwell Ultra:生産フル加速、需要は「驚異的」
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RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition:Disney、TSMC、SAPなど主要企業が採用
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株主還元:新たに $600億の自社株買い枠承認、上半期だけで$243億還元
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AI性能:OpenAIのgpt-oss-120bで秒間150万トークンをBlackwell GB200 NVL72が実現
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自動運転:NVIDIA DRIVE AVが本格生産フェーズへ
CEO ジェンスン・フアン コメント
「Blackwellは世界が待ち望んでいたAIプラットフォーム。NVLinkラックスケールは革命的で、AIレースの中心にある。」
株式市場と評価
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時価総額:$4.43兆
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PER:58.8、Forward PER 40.3
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株価:時間内 $181.75 (-0.01%) → 時間外 $176.36 (-2.84%)
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目標株価(AI推定):$178.2(決算前 $167.24)
まとめ
NVIDIAのQ2決算は、売上・EPSとも市場予想を上回る堅調な内容。特にBlackwell製品の立ち上がりが異例の速さで進んでおり、データセンター需要が牽引。フリーキャッシュフロー減少は設備投資増の影響だが、強気のガイダンスと大規模な自社株買いが市場への自信を示す。
評価:ポジティブ📈、ただし株価は短期的に利益確定売りで軟調。
NVIDIA カンファレンスコール要旨(ジェンスン・フアンCEO発言)
次世代プラットフォーム「Rubin」
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Rubin は 第3世代 NVLINK ラックスケール AIスーパーコンピュータ。
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6つの新チップを開発済み、すでに TSMCでテープアウト。
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Blackwellの次を担うプラットフォームとして、より成熟したサプライチェーンを備える。
AIファクトリー構想のスケール
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Blackwell + Rubin が、3000〜4000億ドル規模のAIファクトリー市場を支える。
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GPU世代ごとにAIデータセンターの規模は急拡大:
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Hopper世代 → 数十MW級、数千GPU
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Blackwell世代 → 100MW級、数十万GPU
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Rubin世代 → 数GW級、数百万GPU(マルチサイト構成)
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AI進化の方向性
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チャットボット → 推論エージェントAI への進化が進行中。
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「エージェンティックAI」によって、学習・推論能力が桁違いに向上。
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企業・業界ごとの特化型AIエージェントを構築可能に。
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エンタープライズのワークフロー、製品、サービスに深く浸透していく。
フィジカルAI時代の到来
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次の大波は ロボティクス・産業オートメーション。
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すべての産業において「2つの工場」が必要になる:
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物理ロボット工場(ハードウェア製造)
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ロボットAI工場(頭脳・AI開発)
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新しい産業革命の始まりを示唆。
まとめ
NVIDIAは今四半期に過去最高売上を記録。CEOは Rubin世代の投入とともに、AIファクトリー市場が数千億ドル規模に拡大し、AIが「チャットボット」から「自律的エージェント」へ、さらに「フィジカルAI」へ進化する未来を強調。
新産業革命の幕開けを宣言する強気のメッセージ。
NVIDIA Q&A要旨(2025/08/27 カンファレンスコール)
質問の要点
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2028年までにデータセンターインフラ支出が 3〜4兆ドル規模になるという見通しについて確認。
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過去には「1兆ドル規模」と発言していたが、これはコンピューティング支出のみだったはず。
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つまり今後 2兆ドル以上がコンピューティング支出に回るのか?
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そのとき NVIDIAのシェアはどの程度になるのか?
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電力などのボトルネックについて懸念は?
ジェンスンCEOの回答要旨
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投資規模の拡大
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上位4社のハイパースケーラーの設備投資は2年間で倍増し、年間6,000億ドル規模に到達。
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これはまだ一部であり、クラウドサービスやエンタープライズも積極投資を進めている。
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今後5年間で 3〜4兆ドル規模という見通しは妥当。
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NVIDIAのシェア
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ギガワット級AIファクトリーは1基あたり 約500〜600億ドルの投資が必要。
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そのうち 約350億ドルをNVIDIAが担う(約70%シェア相当)。
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GPUだけでなく、チップ6種を組み合わせたAIインフラ企業として提供している。
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電力制約と効率
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世界的に「電力供給」がAI成長の制約要因になるのは確実。
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NVIDIAは ワットあたりの性能効率を最大化する設計を重視。
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投資1ドルあたりのパフォーマンスが高いため、顧客にとって粗利益率改善に直結。
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まとめ
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2028年までに3〜4兆ドルのAIデータセンター投資は現実的。
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NVIDIAは1基あたりの設備投資の 約70%を担う存在として強固なポジションを確保。
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最大のボトルネックは 電力供給だが、NVIDIAは「効率性(ワットあたり性能)」で差別化し、成長を持続させる方針。
NVIDIAはGPU企業から“AIインフラ企業”へ完全に進化し、巨額のAI投資市場の中核を握る存在になった
NVIDIA カンファレンスコール要旨(競争環境・ASIC vs GPU)
質問のポイント
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Broadcomをはじめ、ASICによるAI専用チップ開発が活発化している。
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顧客も複数のASICプロジェクトを進めており、市場がGPUからASICへ移行する可能性は?
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NVIDIAは競争をどう見ているか?
ジェンスンCEOの回答要旨
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ASIC開発は困難
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多くのプロジェクトが立ち上がるが、製品化されるのはごく一部。
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AIファクトリーは年々複雑化し、必要とされる技術は「世界で最も極端なコンピュータサイエンスの課題」となる。
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単純なチップ開発では対応できず、フルスタック設計能力が必要。
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NVIDIAの強み
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幅広いソフトウェア互換性:あらゆるクラウド・オンプレ・エッジ・ロボティクスで同じプログラミングモデルが使える。
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全てのフレームワークがNVIDIAをサポートしており、新しいモデルはまずNVIDIAで展開される。
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データ処理 → 事前学習 → 強化学習 → 推論まで、パイプライン全体を加速可能。
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システム全体での優位性
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BlackwellやRubinでは、GPUだけでなくCPUやNIC、メモリ設計まで含めた包括的なシステムアーキテクチャを構築。
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エージェントAIには大容量キャッシュや低消費電力メモリ接続などが必須であり、単体ASICでは不十分。
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電力効率と経済性
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ワットあたり性能が最高水準。電力制約のあるデータセンターでは収益性に直結。
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NVIDIA製品は「買えば買うほどパフォーマンスと利益率を高められる」構造。
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1ドルあたりのパフォーマンスと粗利益率は業界トップ。
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まとめ
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NVIDIAはASICとの単純比較を否定し、**自社は「チップメーカー」ではなく「AIファクトリーのためのフルスタック・インフラ企業」**と位置付け。
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GPU単体ではなく、ソフトウェア・システム全体のエコシステムで優位性を確立。
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電力効率・ワットあたり性能・総合的な経済性で差別化し、ASICの脅威を相対化。
「ASICは断片的だが、NVIDIAはフルスタックで全領域を支える唯一の存在」
NVIDIA カンファレンスコール要旨(中国市場について)
質問のポイント
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中国での 20〜50億ドル規模の出荷見通しについて確認。
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第4四半期以降の持続性はどうか?
CEO回答要旨
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ライセンス状況
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すでに最初のライセンスは取得済み。
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供給体制も整っており、今四半期に20〜50億ドル規模を出荷できる可能性がある。
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不確定要因
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政府・企業間で調整中のため、実際の出荷数量はまだ確定していない。
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地政学的リスクもあり、進捗を見守る必要がある。
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今後の展開
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追加ライセンスを取得できれば、H20の増産・追加出荷も可能。
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ただし短期的な見通しは流動的。
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まとめ
NVIDIAは中国向けにすでにライセンスを取得し、出荷準備は完了。20〜50億ドル規模の売上が四半期内に立つ可能性があるが、最終的な数量は 地政学的要因と政府・企業間の調整次第。今後、追加ライセンス次第でさらに拡大余地もある。
NVIDIA カンファレンスコール要旨(中国・ガイダンス・ネットワーキング関連)
🇨🇳 中国事業の状況
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データセンター収益に占める中国比率は 前期比で1桁台前半に低下。
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Q3見通しには中国向けH20出荷を含まず。
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7月末に米国政府がH20の販売ライセンス審査を開始。
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一部顧客はライセンスを取得したが、まだ出荷は行われていない。
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地政学的制約が残れば、Q3のH20収益は20〜50億ドル規模になる可能性。
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米政府がH20売上の15%を米国に還元する案に言及したが、規則化は未定。
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NVIDIAは引き続き Blackwellの中国承認を米国政府に要請中。
シンガポールの特殊要因
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Q2でシンガポール収益が 全体の22% を占める。
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実際には米国顧客が請求をシンガポールに一元化したためであり、
シンガポール収益の99%以上は米国顧客向け。
Q3 ガイダンス
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総売上高:540億ドル ±2%(前期比 +70億ドル以上)。
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粗利益率(予想):
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GAAPベース:73.3% ±0.5pt
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Non-GAAPベース:73.5% ±0.5pt
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年度末まで 粗利益率は70%台半ばを維持する見通し。
ネットワーキング事業
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Q2収益:73億ドル(前期比 +46%、YoY +98%)と過去最高。
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Spectrum X Ethernet 年間収益は 100億ドル超え。
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Hot Chipsで 分散データセンターを統合するSpectrum XGS Ethernet技術を発表。
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初期導入企業 Farweave が採用、GPU間通信速度が 2倍に。
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InfiniBandは新技術 XDR 採用で、前世代比 帯域幅2倍、売上も前期比ほぼ倍増。
まとめ
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中国収益は不透明:ライセンス審査中のためQ3見通しに織り込まず。承認されれば20〜50億ドル規模。
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米国・シンガポール経由の収益が強く、中国依存度は低下傾向。
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ネットワーキング事業が急成長し、Spectrum XとInfiniBandの需要が売上を牽引。
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ガイダンスは引き続き強気で、売上高540億ドル・粗利73%台半ばを予想。
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