SlimeVRは、フルトラデバイス用のフリーソフトである。SlimeVRの他、別途デバイスが必要である。IMU方式のフルトラデバイスとSlimeVRを組み合わせることにより、フルトラが可能になる。フリーソフトであることが最大の利点でもあり、デメリットでもある。
当サイトは、フルトラをすぐに始めて、次のアクションをすぐにしたい人向けに情報発信しているサイトのため、電子工作や自作を原則推奨していない。現状、光学式及び市販のIMU方式が入手が容易な環境なため、そちらの購入をお勧めしております。多くの手間を楽しめる人及び手間がかかること前提の人のみ対象としています。
フルトラやIMU方式について
フルトラって何?IMU方式って何?どういう機材が必要なの?何を身につければいいの?どう設定すればいいの?とよくわからない方は、下記の記事を参照ください
フルトラをVRChatで遊ぶための19種類のツールを全く知らない人向けに一挙紹介!【2025年4月26日現在】
フルトラは体全身を使って操作する技術の略称で、正式にはフルボディトラッキング(以下フルトラ 英語:FullBodyTrackingでFBT)といいます。VRChat上では、一般的に使われている名称です...
SlimeVRのフルトラで必要なもの
足、両膝、腰、胸にトラッカーをつけるのが基本
・SlimeVRのソフト本体
・VRモードで入るための機材(ヘッドマウントディスプレイとコントローラ)
・IMU方式のセンサ及びハードウェア(トラッカー) 5個以上(当サイトとしては、6個推奨)
・トラッカー用のベルト 足、両膝、腰、胸等各部位(当サイトとしては、足、両膝、腰、胸を推奨)
SlimeVRに利用されるセンサ
SlimeVRでフルトラをする場合、別途IMU方式のハードウェアとそれを体に固定するを用意する必要がある。対応しているIMUのうち、有名なものは、動きの再現性が高い順で言うとBNO085 、 LSM6DSV、 ICM-42688-P、LSM6DSO 、BMI270 、 BMI160等とある。(公式ドキュメントより) 同じソフトを利用するゆえに、他のIMUと比べて、単純に比較できる。
キャリブレーションが別途必要になるセンサに注意
なお、BMI160は、公式では推奨されていない。(公式ドキュメントより) また、BMI270などでは、6面キャリブレーション、温度キャリブレーションなど別途ハードウェア側にて、キャリブレーションが必要なデバイスがある。キャリブレーションの種類には以下がある。以下は2025年5月時点に和訳したものである。当サイトでは、公式ドキュメントの英文を読み取れない人は、当該デバイスを購入することを推奨していない。
6軸キャリブレーションは、別のIMUが使われている機材(カメラやラジコンヘリ等)でも校正方法が載っているが、縦横の水平が一度に確認できる水準器等を利用して、水平や平行を確認することをお勧めします。
6面キャリブレーション(ファームウェアv0.3.3以上のBMI160、BMI270、LSM6DSO、LSM6DSVまたはその他のsfusion製IMU)について(公式ドキュメントより和訳)
BMI160とファームウェアv0.3.3以上をお持ちの場合、またはBMI270、LSM6DSO、LSM6DSV、その他のsfusion IMUをお使いの場合は、ファームウェアで特に指定がない限り、別の方法でIMUをキャリブレーションする必要があります:
最適なキャリブレーションを行うには、トラッカーを通常の動作温度まで加熱することをお勧めします。これを行うには、キャリブレーションを開始する前に、トラッカーを少なくとも20分間装着してください。
キャリブレーション・プロセスに関する追加フィードバックを得るために、シリアル・コンソールに接続することができます。これは完全にオプションです。
マイコン(D1 Mini、NodeMCU、またはその他)を接続します
SlimeVRサーバーを開き、「設定」をクリックし、「ユーティリティ」の「シリアルコンソール」をクリックします。
キャリブレーションしたいIMUを上下反転させ、マイコンのリセットボタンまたはSlimeVRサーバーの再起動ボタンを押します。キャリブレーションを開始するにはIMUを右側に反転させる必要があることを示すメッセージが表示されるはずです。
IMUを裏返すと、キャリブレーションが始まるはずです。IMUを少なくとも15秒間静止させます。
次に、残りの5面をそれぞれ平らな面にセットし、シリアルコンソールまたはLEDが各面の位置を変更できることを示すまで待ちます。
これでIMUのキャリブレーションが完了し、SlimeVRサーバーに回転が表示され始めます。
(公式ドキュメントより和訳)
BMI160 温度キャリブレーション (tcal) について(公式ドキュメントより和訳)
オプションで、BMI160 IMU の温度キャリブレーションを行うことができます:
トラッカーを冷蔵庫または冷凍庫に一定時間入れ、15℃以下に冷却します。トラッカーの温度が不明な場合は、トラッカーの電源を入れたときにSlimeVRサーバーで確認できます。
トラッカーの電源を入れて徐々に加熱し、温度が15℃以下になれば自動的にキャリブレーションが開始されます。
3Dプリンターのベッドやヒートガンのようなものを使うことができますが、バッテリーを過熱したりケースを溶かしたりしないように注意してください。
急がないことが重要です。そうしないと、部分的なキャリブレーションになり、ドリフトが大きくなる危険性があります。
IMUが45℃に達するとキャリブレーションが完了し、自動的に保存されます。
温度校正中にトラッカーを移動させることはできますが、移動中はデータを記録しません。
(公式ドキュメントより和訳)
当該作業が入るため、当サイトではおすすめしていない。
なお、上記作業は、公式ドキュメントの更新により、変わる可能性があり、当サイトでは、他のデバイスと比べて手間や工数が発生するという旨を伝えるために記載している。ゆえに正確なキャリブレーションについては、逐一公式ドキュメントを確認する必要があり、公式ドキュメントの確認ができない場合は、購入を控えることをお勧めします。
SlimeVR自体のセットアップ方法等の動画と記事
SlimeVR自体のセッティングはこちらの動画がお勧めです。
または、こちら等でBOOTHで販売しています。
https://booth.pm/ja/items/4692875 (霧雨なのはさん情報提供ありがとうございます。)
SlimeVRの良い点(他のIMU方式のデバイスと比べて)
・デバイス本体に振動を与えるとどのデバイスをどこにつけていいのか、ソフト上に表示されて、視覚的にわかる。他のIMU方式だと、ユニモーションの場合はあるが、mocopiやシフトール関連はない。
・取り付けるデバイスの位置をソフト上で変更できる。他のIMU方式のデバイスの場合、デバイスの取り付ける部位が指定されており、取り付けを間違えると、ベルトを外す必要などがある。左ひざにつけるものを、右ひざにつけると、他のデバイスは、一旦取り外さないといけない
自作の良い点
・安く仕上げることができる。
・センサーの選び方によっては、激しく動かない、全く動かない、立っているだけ、立ち止まって回る、たまに足をあげるだけ、行ったり来たりの動きをあまりしないといった動作の場合は、そこそこ滑らかに表現できる。
・一度この自作業界にハマると作っては改善作っては改善となり、フルトラというよりデバイスづくりにハマっていく。もう戻れない。
自作の悪い点
・自作は完全に自己責任です。当サイトではおすすめしません。
・自作のため、そもそもセットアップが面倒だし、サポートがない。(購入できる現在あんまりお勧めしていない理由)
・再現性の差が購入したデバイス次第となり、差が激しい。
・本人の技術力次第で、自己責任。部品代すべて無駄になることも
・自作できるかどうかわからない人に対しても、露骨に勧めてくる人がいる点に要注意。
・自作なので、難易度はとにかく高い人には高い。
・道具が別途必要
安いけど、上級者向けでデメリットあり

BNO085 ×6個+SlimeVRでの動作例
一番動きの再現性がよいと言われているBNO085 の動作例は以下の通り。
ドリフトに関しては、他IMU方式と比べてもあまりない印象。ただ、光学式フルトラと比べるとどうしても、無駄が動きやふわふわした動きになりがち。また、上記注意事項を自覚したうえでの購入が前提条件のため、初心者におススメはできない。
他デバイスとの動きの比較【BNO085 ×6個】
ViveTrackerの光学式フルトラとの比較
BNO085 ×6個でのフルトラは、ViveTrackerの光学式フルトラを全て◎のものを基準として、【◎>>〇>△>>>×】で表現すると
設定の手間(キャリブレーション):△
実際の体とのズレ:〇
ドリフト等実際動いていない余分な動き:△
追従性:〇
立位:△
膝立ち:〇
座位:〇
寝姿勢:〇
のような動きの再現性で、若干カクカクした立位の動きがある。
公式サイト
市場での利用例
自作ユーザーやBOOTH等で販売しているデバイス業者が、このソフトに対応したIMU方式のトラッキングデバイスを揃えることにより、ソフトウェア代分をコスト低減できるメリットがある。公式非サポートながらも各社対応している場合がある
ケース1:自作する場合
以下のような自作例があります。
https://note.com/kirisamenanoha/n/n7e85548d2712
公式ドキュメントでは、MPU6500は、現在では非推奨とされています。
夜空くらげさんが開発したデバイス例
無事にNiMH1本で動くSlimeVRトラッカーが完成しました!後々オープンソースとして公開する予定です ^ ̳ᴗ ̫ ᴗ ̳^
— 夜空くらげ (@YozoraKurage) November 10, 2024
それに伴いWebページからSlimevrのFWをフラッシュするツールを公開しました
Adafruit ESPToolをフォークし、リストから書き込みたいFWを選べるようにしたものです!
ツリーに続きます pic.twitter.com/rKvwNbaGnM
私の設計したSlimeVRトラッカー、JellyTrackerのリポジトリを作成しました!
— 夜空くらげ (@YozoraKurage) November 10, 2024
基板データ、改造済みFW、ケースの3Dモデルがすべて入っています!
今はJellyTrakcerV0.5.0、LSM_Module_V0.1.0、Ni-MH_3.3V-Module_V0.1.0の3つしかありませんが今後追加予定です꜀(^. .^꜀ )꜆੭https://t.co/20ybKPPvnH pic.twitter.com/xlFyG2OXuB
ケース2:BOOTHで発売している同人製品を購入する場合
BOOTHで個人が発売しているものを購入するという方法がある。ただし、製作者によっては注意したい点もいくつかあるので、その点注意。注意事項は以下に記載している
BOOTHの個人販売の店の注意点
BOOTHの販売業者の中には、悪質な業者もある。当サイトで被害にあった件を紹介します
・友人と交流しているときに遮って、業者の話に誠意をもって対応しないと、業者アカウントで謝り、個人のアカウントで購入者を塩対応だなどということで、最終的に私個人を特定して攻撃する
・当サイトに記載や告知をすると、当該ツイートを消して、誤解等と当サイトが嘘の記載をしているかのようにコメント
という非常に悪質極まりない人も存在します。
当サイトでは、当該業者は、記載内容が全く信頼できない業者と判断しております。例えば、2025年4月27日時点で、ハリトラワイヤレスとユニモーションが「基本的に似ている」等と実際使ったことがある人から見ると信じられない記載を商品紹介ページでしています。(乾電池で駆動とバッテリーで駆動は、雲泥の差があります)
別件も含め、今後の対策として、顧問弁護士を設置し、利用規約を改訂しています。結果、当サイトが一方的に金銭的損失を受ける形となっております。詳細はこちらをご確認ください。
なお、当サイトでは、動作検証まではしていませんが、SlimeVRのデバイス含めフルトラ関連の取り扱いがある一覧リンクを載せたページをこちらに作成しましたので、ご参照ください。
ケース3:市販IMU方式のデバイスをSlimeVR化
メーカーが製作しているフルトラデバイスをSlimeVR化するという方法もあるが、この方法は、メーカー独自のソフトによる補正を完全に無効にする。また、この操作をした場合、サポートなどを受けれないところもある。
そもそも、SlimeVR自体フリーソフトのため、各IMU方式のメーカは動作を保証していないことがほとんどです。 Unimotionの場合は、サポート対象外、動作保証外のため、最初は公式での利用を推奨。
Uni-motionの場合 (ICM-20948)
サポート対象外、動作保証外だが、Uni-motionでSlimeVRを使った場合の動きの例は以下のリンクを参照。
mocopiの場合
mocopiでSlimeVRを使った場合の動きの例は以下のリンクを参照。
シフトール製品もSlimeVR化しようとする有志の動きもあるようですが、当該ソフトは非公式のもののため、当サイトでは、記載していません。
SlimeVR自体はフリーソフトです
別の検証動画でもmocopiとslimeVR、VIVEトラッカー、HaritoraXと比較動画がありますので、こちらをご確認ください。SlimeVRは自作だけでなく、Unimotionやmocopiでも利用可能です。(デバイスによっては、公式サポート対象外になる場合がありますのでご注意ください) https://www.youtube.com/embed/QaJhDCtGlBY?si=Wa3ZEQrDAP6yBrVi&start=485