量子コンピュータって多種類あってよくわからないですよね。今までたくさんのものがあった中で、さらに「半導体量子コンピュータ」というものが登場しました。そこで、量子コンピュータってそもそも「半導体」でできるの?ってところも含めて、紹介していきたいと思います
半導体量子コンピュータについて
半導体量子って何?今までと何が違うの?を知りたい方、おすすめはこれ!
日本量子コンピューティング協会
量子コンピュータってそもそも何?という方は、日本量子コンピューティング協会の動画解説や資格試験がお勧めです。
https://www.jqca.org/course.php
【群馬県庁開催!】11/9開催「群馬県量子コンピューターセミナー」で未来のビジネスヒントを見つけよう!
群馬県庁32F、nunuAI主催で実施!!
https://www.nunupc.com/post/gunma-netsugen
余談:単一電子トランジスタについての解説
量子コンピュータ以前に、そもそもトランジスタ等が電流でなく、単一電子を操作できれば、常温動作もできて、省エネだし、こんなに超高額な冷却設備もいらないんじゃない?って話がでると思いますので、以下に 電子1個を操作するデバイス「単電子デバイス」について簡単に説明します。また、単電子トランジスタの「電子を止める」という説明は、普通に難しいので、簡単に解説します。
■ はじめに
私たちの身のまわりにあるスマートフォンやPCですが、その心臓部であるトランジスタは、わずか数ナノメートルの世界にまで小型化が進んでいます。TSMC等では2nmまで微細化が量産で進んでいます。しかし、この「微細化の果て」までたどっていくと、1つの電子の存在を無視できなくなってしまいます。というのも、微細化がすすむと、電子が絶縁体を通過してしまう「トンネル効果」が発生し、リーク電流が課題となってくるからです。その微細化の極限で登場するのが、そのトンネル効果を利用した単一電子トランジスタ(Single Electron Transistor, SET)です。
■ 構造と動作の基本
単一電子トランジスタは、ソース(入力)とドレイン(出力)の間に「島(Island)」と呼ばれる極小の導体を配置し、その両側を絶縁体で構成された「トンネル障壁(Tunnel Junction)」で隔てた構造をしております。この島にはゲート電極が近接しており、電圧をかけることで島に出入りする電子数を制御します。
電子が島に1つ入ると、その電荷が反発して次の電子が入りにくくなります。これがクーロンブロッケード効果です。ゲート電圧をわずかに変えるだけで、電子が「1個」「2個」と順に出入りする――まるで水道の蛇口を原子レベルで制御しているような動作が実現します。
■ クーロンブロッケードとクーロン振動
島に電子が1つ入るたびに電気的エネルギーが変化し、その差がトンネル電流を抑制します。この「電子の出入り禁止」状態がクーロンブロッケードです。しかしゲート電圧を微妙に調整すると、電子が出入りできる瞬間が周期的に現れます。この周期的な電流の発生がクーロン振動と呼ばれ、単一電子トランジスタの“指紋”のような特徴的現象となります。
■ 作製方法と今後について
単一電子トランジスタを実現するには、ナノメートル単位で金属や絶縁体を積層する高度な微細加工技術が必要です。代表的な手法は電子線リソグラフィーを用いた加工で、アルミニウムとその酸化膜(Al/Al₂O₃/Al構造)などがよく用いられます。このような構造により、安定したトンネル障壁と明確な電子数制御が可能になります。
ただし、クーロンブロッケードが成立するためには、島に電子が1個入るエネルギー差が熱エネルギーより大きくなる必要があります。現時点では極低温(数ケルビン)環境での動作が主流です。単一電子トランジスタは、単なる「極小のトランジスタ」ではありません。電子を1個単位で扱えるという特性から、次のような応用が期待されています。
-
超低消費電力デバイス:1個の電子で信号を表現できるため、エネルギー効率が非常に高い。
-
高感度センサー:電荷のわずかな変化を検知できるため、量子ドットや生体分子の検出にも応用可能。
-
量子コンピュータとの融合:量子ビットの状態読み出し素子としての可能性。
「電子の最小単位を制御する」技術が将来の情報処理の形を変えると期待されています。といっても、ここまでは0Kでの話で、常温で微細化を可能にするには、より微細化が必要になってきます。
とはいっても、安定制御を前提にアイランドを形成するとなると、1nmの島とトンネル障壁を適切な距離で形成することになるので、量産ではちょっとやっかいです。
それを考えると、絶対零度にして、電子のありなしで01のみを判定するとなると、膨大なトランジスタが必要になってしまい、使い勝手が悪いですが、電子のありなしで制御する従来方式ではなく、アイランド上の量子状態で判定する量子コンピュータに利用すれば、確かに、合理的だと思います。
