〜匿名販売・納期遅延・返金拒否の実態を探る〜
はじめに
個人クリエイターが手軽に作品を販売できるプラットフォーム「BOOTH」。
イラスト、3Dモデル、デジタル商品から、最近ではVR機器まで販売されています。
しかしその一方で、特定商取引法に基づく表記の不備や、納期・返金トラブルが増えています。
この記事では、匿名販売を行う業者の実態と、購入者が気をつけるべき点を整理します。
匿名販売という仕組みのリスク
匿名制度の背景
BOOTHでは、販売者が住所や電話番号などの個人情報を非公開に設定することが可能です。
これは個人クリエイターのプライバシーを保護する目的で導入された制度です。
リスクの現実
一方で、悪用されると以下のような問題が起きています。
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販売者の実体が不明なまま高額商品を販売
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トラブル時の連絡がつかない
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開示請求をしても返答がない、または遅延する
特定商取引法では、通信販売業者に対して「事業者の氏名・住所・電話番号の明示」が義務付けられています。
「請求があれば開示します」という形式は例外措置にすぎず、請求に応じない場合は法令違反となる可能性があります。
実際に見られるトラブル事例
ケース1:納期の大幅遅延
「2週間で発送」と記載されていたにもかかわらず、数ヶ月経っても商品が届かない。
こうした報告はSNSでも多く見られます。これはフルトラデバイスで実際ありました。
この場合、特定商取引法第12条(誇大広告・不実告知)や民法上の債務不履行(第415条)に該当する可能性があります。
ケース2:返金拒否・無応答
商品に欠陥があるにも関わらず、「返品不可」「自己責任」として返金対応を拒否する販売者も存在します。
特商法では、欠陥商品の返品・返金対応は義務とされています。
ケース3:PSE・PL法を無視した電子機器販売
フルトラや電子基板などの電子機器を、電気用品安全法(PSE)に適合しないまま販売しているケースも確認されています。
これらは火災や感電などの危険を伴い、販売停止や罰金刑の対象になることもあります。
法的観点から見る特商法違反のポイント
| 項目 | 義務 | 違反した場合のリスク |
|---|---|---|
| 事業者名・住所・電話番号 | 明示義務あり | 行政指導・罰則(第66条) |
| 返品・返金条件 | 明示義務あり | 消費者庁による行政指導 |
| 虚偽・誇大広告 | 禁止 | 業務停止命令・罰金 |
| 電気機器販売(PSE対象) | 表示義務あり | 販売停止・罰金刑 |
特に住所や電話番号を非公開にしており、開示請求にも応じない場合は「匿名販売の濫用」として行政指導の対象になる可能性があります。
購入者ができる自己防衛策
1. 販売者情報を確認する
「特定商取引法に基づく表記」を必ずチェックし、販売者の情報が明示されているか確認します。
2. レビューやSNSの評判を調べる
購入前に過去のトラブル報告や購入者レビューを確認します。
3. 発送時期・返金ポリシーを保存しておく
取引条件をスクリーンショットなどで保存しておくと、後々の証拠になります。
4. トラブル時はすぐ相談する
BOOTHサポートや消費者センターへ早めに相談することで、被害を最小限に抑えられます。
