Amazonで発売されていてもPSE法って満たされるの?

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1. Amazonで売っている=合法とは限らない

  • Amazonは「プラットフォーム」であって、販売者自身がPSE法を守る責任を負います。

  • Amazon自体が全商品のPSE適合を審査しているわけではありません。

  • 特に「マーケットプレイス(出品者が自由に登録して売る仕組み)」の商品は、海外からの直輸入やPSE非対応のものがそのまま並んでいるケースも多いです。

2. Amazonの規制は年々厳しくなっている

とはいえ、事故や行政指導を受けて、Amazonもチェックを強化しています。

  • モバイルバッテリーや充電器などは、出品時に PSEマークや試験成績書の提出 を求められる場合があります。

  • 特定電気用品(電源タップなど)では、販売許可が出る前に書類確認が行われるケースも。

  • 過去には、PSEマークがない製品が出品停止・削除された事例もあります。

ただし、これは「Amazonが独自に安全性を保証している」わけではなく、あくまで 出品者が法令遵守しているかを形式的に確認 しているだけです。

3. 違反品が出回る現実

  • 実際に、Amazonで「PSEマークなし」の充電器やモバイルバッテリーが摘発されたことがあります。

  • 消費者が「Amazonで売っていたから安心」と思って購入してしまうケースも多い。

  • この場合、責任を問われるのは「販売事業者」であり、Amazon自身は「販売の場を提供している立場」にすぎません。

 

では、事業者は実際どのようなことをしているのでしょうか?以下をまとめてみました。
なお、これは、正式なものではなく、誤って買ってしまわないようにユーザー向けに作成しています。
事業者の方は必ず専門家などに確認をお願いします

 

1. はじめに

日本で電気製品を販売する場合、避けて通れないのが「電気用品安全法(PSE法)」です。
PSE法は消費者の安全を守るための法律であり、事業者にとっては 「販売の前提条件」 と言っても過言ではありません。

特に近年は、Amazonや楽天などのECサイトで販売を始める個人事業者や輸入業者が増えています。しかし、PSE法を知らないまま販売を行い、後から製品回収や罰則に直面するケースも少なくありません。

この記事では、事業者が最低限理解しておくべきPSE法の仕組みと、実務上の対応フローを整理して解説します。

2. PSE法の基本

2.1 PSE法とは?

正式名称は「電気用品安全法」。
家庭や事業所で使われる電気製品について、一定の安全基準を満たすことを義務付けています。

事業者が守るべき義務は大きく4つです。

  1. 事業届出(経産省への登録)

  2. 技術基準への適合(検査・試験)

  3. PSEマークの表示

  4. 検査記録・書類の保存

これらを満たして初めて、日本国内での販売が可能となります。

2.2 PSEマークの種類

対象製品は大きく「特定電気用品」と「特定以外の電気用品」に分かれます。

  • 特定電気用品(ひし形マーク)

    • リスクが高い製品(電源タップ、電気ストーブなど)。

    • 登録検査機関による適合性検査が必須。

  • 特定以外の電気用品(丸形マーク)

    • リスクが比較的低い製品(パソコン、照明器具など)。

    • 自己確認(自主試験)で基準適合を確認。

3. PSE法の対象となる製品

現在、規制対象は 457品目

  • 特定電気用品(116品目)
    例:配線器具、変圧器、電気温水器、電源ケーブルなど。

  • 特定以外(341品目)
    例:PC、プリンター、LED照明、充電器、モバイルバッテリーなど。

重要ポイント
輸入事業者も「製造事業者」とみなされるため、日本国内で販売する以上、すべての義務が発生します。

4. 事業者がとるべき実務フロー

ここからは、実際に事業を始める場合の流れを時系列で整理します。

4.1 事業届出

  • 販売を始める前に、経済産業省へ「事業届出」を提出。

  • 届出内容:事業者情報、取り扱う品目区分など。

  • 届出を行わないまま販売すると「無届販売」として罰則対象になります。

4.2 技術基準適合確認

  • 特定電気用品 → 登録検査機関での適合性検査が必須。

  • 特定以外の電気用品 → 事業者自身で基準適合を確認。

 検査項目は「絶縁耐力」「耐久試験」「温度上昇試験」など、安全性を確認する試験が中心です。

4.3 PSEマーク表示

  • 検査に合格した製品には「PSEマーク」を表示。

  • 製品本体、もしくは取扱説明書・銘板などに印刷する。

  • 輸入品の場合、現地で印刷されていないケースが多いため、日本側でシールや印字を行う必要があります。

4.4 書類・記録の保存

  • 試験成績書、検査記録などを 3年間以上保存

  • 経産省からの立入検査に備え、すぐ提示できる体制を整えることが求められます。

5. 違反した場合のリスク

PSE法に違反すると、以下のようなリスクがあります。

  • 罰則

    • 表示違反 → 1年以下の懲役または100万円以下の罰金

    • 届出義務違反 → 50万円以下の罰金

  • 行政処分

    • 販売停止命令

    • 製品回収命令

  • 事業的損失

    • ECプラットフォームでの出品停止

    • 在庫の廃棄や返品対応

    • 取引先からの信用失墜

特にAmazon・楽天などは、出品時に「PSEマークの証明書提出」を求める場合があります。未対応だと即販売停止になるケースも。

6. 輸入事業者の注意点

輸入販売でよくあるトラブルが「PSE未対応製品を輸入してしまった」ケースです。

  • 海外メーカーのPSEマークは無効
    日本の法律に基づく検査を受けたものでなければ認められません。

  • 輸入業者自身が責任を負う
    製品にPSEマークが付いていなくても、日本で販売する以上は輸入業者が適合確認・表示を行う必要があります。

  • 抜け道は存在しない
    「個人輸入だから大丈夫」「小規模だから免除される」といった例外はありません。

7. 消費者向け説明の準備も必須

事業者は法律対応だけでなく、消費者への説明責任も負います。

  • 安全確認済みであることを明示

  • PSEマークの意味をわかりやすく説明

  • 万一の事故時の対応窓口を準備

こうした対応は、信頼を高めると同時にクレーム削減にもつながります。

8. 最近の改正動向

事業者が特に注意すべき最近の変更は以下です。

  • モバイルバッテリー規制強化(2019年)

  • LED照明の対象追加

  • リチウムイオン電池の規制強化

 今後は、EV関連製品やIoT機器が対象拡大される可能性もあり、最新情報のチェックは欠かせません。

9. 実務対応チェックリスト

最後に、事業者がPSE対応を進める上でのチェックリストをまとめます。

  • 経産省への事業届出を済ませたか

  • 製品が特定電気用品かどうか区分を確認したか

  • 必要な試験・検査を実施したか

  • PSEマークを正しく表示しているか

  • 検査記録を保存しているか

  • 消費者への説明体制を整えているか

10. まとめ

事業者にとってPSE法は、単なる「法律」ではなく 販売のためのライセンス です。
対応を怠れば、販売停止・回収・罰則といった深刻なリスクに直結します。

  • 特定/非特定の区分を理解する

  • 届出・検査・表示・保存の4点を確実に行う

  • 常に最新の規制動向をチェックする

この3つを意識することで、PSE法対応は大きな問題なく進められます。

PSE対応は一見複雑ですが、手順を整理すれば「やるべきこと」は明確です。
電気製品を安全に、安心して市場に送り出すために、今一度自社の対応を点検してみてください。