特定商取引法の基本要件
日本の特定商取引法(正式名称:特定商取引に関する法律)では、ネットショップなどの通信販売業者が購入者に誤解を与えないよう、販売者情報を明示することが義務付けられています。以下の項目を正確かつ分かりやすく記載することが求められています。
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事業者の名称(法人名または個人名)
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事業者の住所
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事業者の電話番号
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販売価格
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商品代金以外の必要料金(送料など)
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代金の支払い時期と方法
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商品の引き渡し時期
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返品・交換・キャンセルに関する事項
問題のある(または改善が必要な)箇所
1. 事業者の名称・住所・電話番号が省略されている
「省略した記載については、電子メール等の請求により遅滞なく開示いたします。」
→ この表現はよく見られますが、法的には“グレー”です。
特商法では、原則として住所・電話番号をウェブ上に明示しなければなりません。
BOOTHのようなプラットフォームでは一定の匿名販売制度が認められていますが、
開示請求時に必ず応じる体制を整えていない場合は法令違反にあたる可能性があります。
【改善提案】
「開示請求により開示します」とする場合は、
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開示請求用の専用メールアドレス
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開示請求の手順(例:問い合わせフォームへのリンク)
を明示すると適法性が高まります。
2. 「返品について」の記載が不十分
「商品に欠陥が認められた場合を除き、返品には応じません。」
→ この記載も不十分です。
「欠陥」の定義や「返品手続きの流れ(連絡期限・返送先)」など、具体的に書く必要があります。
また、ダウンロード商品を扱う場合は
「デジタルコンテンツの性質上、返品・返金はできません」
と明記するのが一般的です。
【改善提案】
「返品・返金の可否」を商品区分(物販/デジタル)ごとに分けて明記。
3. 電話番号の未記載
→ BOOTHでは住所と同様に「開示請求に応じる形式」でも運営可能ですが、
購入者からの問い合わせがメールのみだとトラブル対応に時間がかかるため、
緊急時の連絡手段(メールアドレスまたはお問い合わせフォーム)を明記することが望ましいです。
4. 表示責任者(運営責任者名)が記載されていない
特商法では、個人事業主名または法人代表者名の記載が求められています。
「屋号」だけでは不十分です。
【改善提案】
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個人事業主の場合:「販売責任者:○○ ○○」を明記
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法人の場合:「運営会社:○○株式会社 代表取締役 ○○ ○○」
