シフトールが販売するHaritoraX2やHaritoraX2Proの向きをカメラを使って補正する「AddonR(アドオンアール)」がついに発売されたので、さっそくレビューしてみた。
HaritoraX2って何?フルトラって何って人はまず、下記リンクを参照願います。
今回は特にHaritoraX2やHaritoraX2Pro自体に追加するユニットのため、ご確認ください。こちらの知識を前提に進めていきます。
前回までは、HaritoraX2とHaritoraX2Proを使ってトライしてきました。
度重なる販売延期を重ね、ついに今回AddonRが発売となりました。
今回は、HaritoraX2Proの足先部分のセンサーがないバージョンで実践してみます。

HaritoraX2のAddonRは、シフトールが販売する、専用カメラでIMUセンサーに取り付けたマーカーを検知して、向きを補正するデバイスです。シフトールによると、ズレがないと主張しています。

製品の箱左側には、カメラと専用の長いUSB CーUSBAケーブル、専用の赤外線カメラ1個、各トラッカーに取り付けるアタッチメントプレートが付属している

(写真右:USB CーUSBAケーブル、写真左下:専用の赤外線カメラ1個、写真;上 各トラッカーに取り付けるアタッチメントプレート)
取付位置について
胸、腰、両ふともも、両すねに設置
今回は、写真のように、胸、腰、両ふともも、両すねにトラッカーとAddonRを装着した。

公式HPと取扱説明書
公式HPと設定の仕方については、取扱説明書を参考にすること
https://ja.shiftall.net/products/haritorax2-addonr
基本的に当サイトでは、取説に記載している内容を重ねて書かずに、注意点のみ記載していく
構造と仕様
IMUセンサーの周りをアタッチメントプレートをはめこむような構造となっており、大きいことがわかる。

プレートについている灰色っぽい反射球を認識する仕組みだ。
反射球は、汚れないようにさわらないようにすることが注意点である。
| 接続方式 | USB 2.0 |
| トラッキング方式 | 赤外線 |
| 対応機種 | HaritoraX 2 / HaritoraX 2 Pro / HaritoraX ワイヤレス |
| 動作環境 | Windows 11 / Shiftall VR Manager |
| サイズ(アタッチメントプレート) | W145mm×H94mm×D24mm |
| サイズ(カメラ) | W66mm×H42mm×D46mm |
| 重さ(アタッチメントプレート) | 約30g |
| 重さ(カメラ) | 66g |
他との比較は後程記載する。
【準備編】必要なものと気を付ける箇所
必要なもの
・HaritoraX2Pro 一式
・AddonR 一式
・Bluetoothドングル
今回、[HaritoraX2Pro用のAddonR」を購入し、HaritoraX2の下半身センサーをPro仕様にするように変更している。HaritoraX2をそのまま使いたい場合は、別途、[HaritoraX2用のAddonR」を購入する必要があるので注意だ。
以降は、公式ドキュメントに従ってやっていく。
①センサーアップデート
まずは、組付けていく前に、センサーアップデートを事前に実施しておく。

センサーアップデートでの、Bluetooth切り替えは、ソフト側で一括で可能である。今回の接続は、専用ドングルでの動作ではなく、Bluetoothで実施した。Bluetoothのドングル等はメーカー推奨品が取説に記載があるため、それを参考にすること。
②カメラのソフト表示について
今回のAddonRより、ソフトにカメラ表示が追加された。
カメラ表示部分には、左側に専用カメラを通じた映像と検知ステータスがあり、検知すると、光って反応する

反応している場合は、表示がでるため、わかりやすい。緑の点々が人である

ここでの注意点として、赤外線を認識するカメラのため、窓とかの外の光の反射物に弱いし、露骨に認識している。

反応にどういった影響があるかわからなかったため、自分は窓や外の光が入らないように遮光して対策した
③カメラの設置
カメラは、かつて某社にあった例のカメラの事業買収に伴い流用した専用カメラ(写真左)である。

設置時の注意点として、カメラ用のねじ穴はあるが、付属品に固定グッズがないという点である。
カーテンレールなどで巻き付けることができるくねくねの三脚などを事前に購入すべきだ。
自分はベースステーションを固定するのを流用したが、絶対必要になるので、要注意だ。設置方法としては、ベースステーションと同じだが、カメラをPCに接続する必要がある。

カメラの向きやカメラのスペック等は、シフトールの公式の取説に書いてあるが、下から見下ろして、反射材の〇の部分と正面になるように設置し、反射がしっかり認識できる角度にするのがお勧めだ。

自分も同様に見下ろす形で設置した。VIVETrackerのベースステーションの設置と同じ位の時間がかかったが、今回1台なのですぐにできた。(正直、VIVETracker3.0+BS2の方が、設定や設置自体は楽)
④アタッチメントプレートの取付及びベルトの設置
一番面倒だったのは、カメラの設定よりも既存のベルトを一回取って、アタッチメントプレートをとりつけて、再度つける工程である。これでおおよそ1時間位使ったが、なれている人だったら、すぐに終わるはずのところである。

全体として、最新のアップデートを済ませた状態なら、45分位を見積もってできると思う。
断面図としては、こんな構造で、上下のプレートで本体を挟み込む構造となっている。

このため、上のプレートだけ取り外すと、下のプレートと本体も外れてしまう。下プレートにつけていたベルトを再度トラッカー本体につけなおす手間が発生する。どうしても、上のプレートを随時取り外して使いたい人は、下のプレートとトラッカーを固定するなど工夫したほうがいい。(マジックテープタイプの結束バンドで固定するなど)
ここで要注意なのは、反射球をよごしたり、壊したりしないことだ。
また、挟み込む構造自体もそんなに強度がないため、頻繁に取り外すのは極力やめたほうがいい。
【実践編】動いてみた
ではさっそく、HaritoraX2Pro(足先センサーなし)+AddonRをつけて、実際動いてみました。
動き自体は、動画右のHaritoraX2Pro(足先センサーなし)とあんまりというより、ほとんど変わらない。
この動画では、ほとんどわからないが、動画左のOpsens+にある光学モードの場合は、ドリフトすらしないことがわかるし、ズレがないといううたい文句を聞くと、上記を連想しがちだ。
向き補正ユニットとして発売されていることを考えると、この連想は間違っているだろう。
そこで、自然にずれないかどうかを検証した。
検証方法としては、2時間ほど突っ立って、少し動きながら話すという方法だ。あまり動かない場合での、体がぐにゃっとするような感じはなく、キャリブレーションが必須というほどずれているわけでもなかった。以下は突っ立った後の様子で、向きが変にずれていったりしたことはなかった。

時間経過によって自然に角度がずれていく点は、適宜補正されているように思われる。今回の追加ユニットで、IMU単体の性能が向上しているわけではないので、純粋に補正として機能していることは、ある程度わかった。
動き自体は、HaritoraX2Pro(足なし)とあんまり変わらないが、補正が如実に成果として出ている。例えば、立っているところをきれいに見せたいとか立ち話をするといった何気ない動きをするときのキャリブレなしには向いているデバイスだ。
気になったところ
反射球を壊さないように、触らないようにするのが難しい
①スキーボーズキャリブレーション時のKNEER2回ボタン時に反射部分に当たる

今回の反射球は「触らないように、破損しないように」という記載が幾つかある。
中央にトラッカーがある構造のため、ボタンを押すことでキャリブレしていた人は、誤ってVR中に反射球を触ってしまう恐れがある。反射球は、壊しやすく、触ってしまいがちだ。
②VR睡眠、激しい動きがなかなかできない
反射球を削ってしまうような動きが基本的ないので、慎重になってしまう。VR睡眠では寝返りが打てないし、そのあたりはOpsens+のARマーカーと一緒だが、現実で何かと衝突してしまう環境では難しい。そう考えると、立ちっぱなしや座りっぱなしのような動きに、補正が向いている。
他デバイスとの比較
動き
今回のデバイスの動きについて、他のデバイスと比較します。まずは、今回のデバイス
まずは、右から2番目の光学式のViveTracker3.0と比較だ。このデバイスは、実際の動きとほぼ同じである。今回は向き補正がメインのデバイスのため、ViveTracker3.0の方が圧倒的だ。
HaritoraX2Pro(足なし)のときにも書いたが、このデバイスは、mocopi、UnimotionやHaritoraXワイヤレス等の他の旧モデルのIMU方式のデバイスと比べても、普通にドリフトなどの抑制に優れている。
次に、Opsens各種だ。モードは旧式だが、この時点で既にOpsens+光学モードは、ドリフトがほぼないため、この動きに関しては、普通にOpsensが優れている。ただし、ARマーカーでのフルトラは、ARマーカーの認識や判定がシビアなため、認識している範囲のみ優れている点が要注意だ。
ただ、上下左右の揺れ(ドリフト)の抑制もPICOMotionTrackerのように、抑制しているような挙動がないため、AddonRでは、ドリフト抑制までは至っていないようだ。rebocapも抑制しているようにしているので、正直そのあたりは改善してほしい。
以上を踏まえて、突っ立っていたり、激しく左右で動くとか、追従を要求しない場合の動きで、向きがずれていってほしくないなぁという動きには、向いているデバイスと思われる。
次は、VR睡眠に挑戦してみる予定だ。
VR睡眠
既存のフルトラデバイスでのVR睡眠の比較対象では、Opsens+のHybridモードで実施した際の様子が現状安定している。両足にARマーカーをつけています。こっちは、少しふわふわと動いたりするのですが、45分以上、形を保っています。
その後2Hほどトライしましたが、同様に形を保っていました。ARマーカーは暗所でも認識するので、カメラの解像度が高い&常時ARマーカーを認識させることができるのなら、ぐにゃっとつぶれることなく、VR睡眠も形を崩さずできるようになっています。
今回のデバイスでは、HaritoraX2のみの場合、一時間ほどは形を保っていたため、AddonRでどれくらい変わったかはよく確認必要かと思います。ただ、AddonRの反射球自体が、ぶつかりやすい&かなり衝撃に弱い&壊れやすいため、VR睡眠自体に向いているかはかなり疑問です。
大きさ
は以下の通りだが、実質一番大きい。

写真左下からViveUltimateTracker、Opsens(光学ARマーカー付属)、PICOMotionTrackerで、ViveTrackerである。見ればわかるがかなり大きく見えるが、今回のものより、幅でOpsensよりも小さく見える。
このため、Opsens+が不利にみえるかもしれないが、実は、Opsens+の場合、マーカーはARマーカー一個でも認識できればよい仕組みになっているため、実際は、半分の大きさかつ全トラッカーのうち一個でよい。さらに言うと、Opsensは、マーカー1個だけで補正がかかるため、1個不要になり、実質Opsensの方が小さい。
ただ、でかいのは間違いないのだが、体に密着するような部分は、増えていないため、汗になったりするリスクはOpsens同様、低い。真上から見た写真の様子が以下だ。

UI
毎回書いているが、特に改善していない。無駄に縦長の表示、いちいちOK/キャンセルと出る表示を消すのが面倒だ。

OpsensStudio、PICOMotionTracker、ViveUltimateTracker、rebocap、他のデバイスと比べて一覧性に乏しく、全然使い勝手は悪い。
センサーアップデート
Opsens+、PICOMotionTracker等他デバイスでもセンサーアップデートはあるが、Shiftallほど時間がかかったり、わかりづらいものはなく、非常に面倒。体感になってしまうが、倍ぐらいはかかっている。

そもそも他社のものは、Bluetoothに切り替え作業なんてものもないので、USB端子も各デバイスにあるのに、なんでBluetoothだけしか対応していないのか理解できない。一括切り替えがあって便利なんていう人もいるが、そもそも「一括切り替え」をする必要自体が他にはない。

個人的には、このあたりは面倒だなと思えるポイントだ

以下は、それぞれPOPアップで出す必要ある?と思えた点である。この点は、HaritoraX2の時から変わっておらず、正直面倒な点ではある。




感想
やっと発売したかという感想
全体として、立ちっぱなし/座りっぱなしといった没入感を味わいたい人に向いたデバイスだと思う。動きを忠実に再現したいというよりは、向きリセットを何度もしたくない、そういった人に向いたデバイスだ。当サイトは、2024年の発表当時から、Contacttrack、AddonRと追ってきたが、やっと発売したかという感想です。
Opsens+より抑えた構成とわかりやすいパッケージ
以前のOpsens記事で記載した、「トラッキング手法」に関する内容があります。
① 光学 + 慣性航法(OpsensStudio)
② 光学 + 慣性航法 + フォワードキネマティクス (FK/関節モデルによる推定)
③ フォワードキネマティクス (FK) + 光学による向き補正
④ フォワードキネマティクスのみ(市販IMU)
で④のみから脱却し、③となった感じです。ただ、絶対位置取得ではないという点がまだまだOpsensStudioと比べて差が開いているなという印象です。実際問題、Contacttrackはその課題を解決できないまま、シフトールに事業がうつったので、まずは向き補正という認識はいいかなと思います。しかし、Opsens Studioが実用的かというとそれとは別問題なため、そこは購入時に自分がどういう動きをするか、よく検討する必要があります。
シフトールユーザーだったら全然アリの買い物
実際問題ですが、シフトールユーザーからすると、今回の向き補正はかなりありがたいと思います。実際問題、自分もOpsens使っている理由として、「球の向きがおかしいから嫌」というケースが多いを理由に挙げていたので、普通にかなりありがたいです。キャリブレーション回数も大幅に減っています。また、カメラも専用なので、カメラのキャリブレーション等余計なセッティングがないのも魅力的です。(Opsensはあるし、基本1回だけだが、結構面倒)
個人的な感覚としては、反射球は消耗しつつも予備を購入し、対応するのがベストだと思います。
Opsensから変更する理由はとくにない
なお、Opsens+のIMUモード等で現在トラブルにあっている人以外は、特に変更する理由はないです。現在、向き補正のみの小型マーカーを開発しているらしく、これが導入されれば、ARマーカーが飛び出ることなく、よりコンパクトになるでしょう(現時点でも向きは補正されているので改良に近い)。
