フレンドにお砂糖ができた日 〜僕が失ったものと、残ったもの〜

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 はじめに|あの日から僕の居場所は少しずつ変わった

僕がVRChatを始めてしばらく経った頃、
一番仲が良かったフレンドに「お砂糖」ができた。

お砂糖——
VRChat独特の文化で、恋人未満恋人以上の特別な関係を意味する言葉だ。
ときに癒し、ときに依存、そして誰かを幸せにするのと同じくらい、誰かを孤独にもする。

この記事は、「お砂糖」という甘い言葉の裏側で、
僕が感じた正直な思いを、少し長くなってもいいから全部残しておきたいと思って書いている。


 一番の相棒だったフレンド

そのフレンドと出会ったのは、まだ僕がフルトラを手に入れる前だった。

お互い、誰かと一緒にいるのがちょっと苦手で、
だからこそ気楽に付き合える相棒のような存在だった。

夜遅く、誰もいないワールドで二人きりで話す。
踊ったり、くだらない話で笑ったり、
その時間だけは、現実の面倒なことを全部忘れさせてくれた。


いつも通りの夜に起きた小さな違和感

ある夜、いつものようにログインしたとき、
彼はいつもと違うアバターを着ていた。

「どうしたの、それ?」
「ちょっと、特別だから。」

そう言ってはにかむ彼を見て、
僕はなんとなく嫌な予感を感じた。

それから、彼のフレンドリストには知らない名前が増えた。
知らないワールドにいることも増えた。
声をかけると、「ごめん、今ちょっと…」と返事が返ってくる。


お砂糖の存在を知った夜

数日後、彼が自分から打ち明けてくれた。

「実はさ、最近ちょっと仲良い人がいて…お砂糖、っていうのかな。」

笑いながら言ったその声を、僕はどう受け止めていいかわからなかった。

「おめでとう」
としか言えなかった自分が少し情けなかった。


会話が減っていった

それからの彼は、少しずつ僕といる時間を減らしていった。

「今日はお砂糖と話すから」
「今から一緒に寝落ちするから、またね」

もちろん、彼にだって幸せになる権利がある。
僕が口を挟むことじゃない。

だけど、気がつけば僕が声をかけても、
ワールドには彼とお砂糖がいて、僕の入る余地はなくなっていた。


フレンドリストに名前があるだけの存在に

数ヶ月前までは、ログインすれば必ず声をかけてくれた。
何時間でも他愛ない話ができた。

でも今は、フレンドリストにオンライン表示されていても、
僕は何もできない。

「邪魔したくないな」
「迷惑かな」
そんな気持ちが先に立つ。

結局、別のワールドで別のフレンドと遊ぶしかない夜が増えていった。


他のフレンドとの距離感も変わった

彼と僕は、共通のフレンドが多かった。

だから、彼にお砂糖ができてから、共通の場に行きづらくなった。
集会でも彼とお砂糖が一緒にいて、周りが気を使う空気になる。

「ヒロさんもこっち来て!」
と言われても、心のどこかで自分が場違いな気がして、
「いや、こっちでちょっと…」と別の場所に移動する。

これが何度も続くと、自然と共通のフレンドとも話す機会が減った。


嫉妬ではなく、喪失感だった

よく、「お砂糖ができると嫉妬するでしょ?」と言われる。

でも僕の場合は少し違った。

確かに少しだけ羨ましかった。
でも、それ以上に「自分の居場所が一つなくなった」という喪失感が大きかった。

お砂糖文化そのものを否定するつもりはない。
ただ、何も持たないフレンドにとっては、ときに残酷に作用する。


もう一度話したいけど話せない

一度だけ、勇気を出して彼に言ったことがある。

「最近、あんまり話せないね。」

彼は申し訳なさそうに笑って、
「ごめんね。今度時間作るから。」

その言葉を最後に、
結局「今度」は来なかった。


 僕が学んだこと

VRChatに限らず、どんなSNSでも同じだけど、
誰かが新しい絆を得ると、必ず失われる絆もある。

そしてそれを責めることはできない。
誰も悪くない。
だから余計に、割り切れない。


それでも僕はログインする

こんな出来事があっても、僕はVRChatをやめなかった。

他にも楽しいことはたくさんあるし、
新しいフレンドもできた。

でも、あの夜ふたりで踊った小さなワールドや、
寝落ち前に笑い合ったあの時間は、
今でも僕の胸の奥に残っている。


おわりに|いつかまた、あの頃みたいに

お砂糖が生まれると、幸せになる人がいる。
その一方で、少しだけ居場所を失う人もいる。

もしこれを読んでいるあなたのフレンドにお砂糖ができたら、
どうか無理に気を使いすぎないでほしい。

疎遠になるのは仕方ないけれど、
思い出が全部消えるわけじゃない。

僕も、いつかまた何も気にせず、
あの頃みたいに一緒に笑えたらいいなと思っている。

だから今日もログインする。
あのフレンドに「おかえり」と言える日が来るかもしれないから。